「行動力があるのに疲れやすい」「次々いろんなことに興味を持つけど飽き性」「人と仲良くなってもすぐに距離をとりたくなる」…
そんな自分に違和感を持ったことがある方は、HSS型HSPかもしれません。
この記事では、その特徴と気質との向き合い方を紹介します。
HSS型HSPの私が、自分の体験をもとに書いていきます。最後まで読んでいただけると嬉しいです。
HSS型HSPとは?

HSS型HSPとは、「繊細な感受性を持つ人(HSP)」の中で、「HSPの特性」も「刺激を求める傾向(HSS)」も併せ持つ人のことです。
これは生まれ持った“気質”のひとつで、病気や診断名ではありません。
HSPとHSSには次の図のように、それぞれ4つの特性があります。

見てわかる通り、HSPにはとても繊細なイメージ、HSSにはリスクを気にせず行動するイメージがあり、真逆な感じですね。
この両方をもっているのがHSS型HSP。見るからにややこしそうです。
まず、基本となるHSPとHSSについて、それがどういうものかを説明していきます。
HSPと4つの特性
まず、HSP(繊細な感受性を持つ人)です。
HSP(Highly Sensitive Person)とは、生まれつき感受性が強く、光や音などの刺激や感情に敏感に反応しやすい気質をもった人たちのことを指します。
人口の約15〜20%と言われています。

10人のグループなら2人のHSPがいるという計算。8人のそれほど繊細でない人の中に2人の繊細さんが入っている感じですね。やはり少数派です。
HSPには、「DOES(ダズ)」と呼ばれる、次の4つの特性があります。
処理の深さ
物事を深く考える。また行動する前に情報をじっくりと分析し、先々の影響まで考慮する。
例)最初に全体の流れや起こりうる問題を丁寧に考え、安心してからスタートする
本や映画を見て、数日たってもずっとその内容について考えている
刺激に対する反応の強さ
騒音、匂い、強い光、多すぎる情報、対人関係などの刺激に強く反応して疲れやすい。
例)人混みやにぎやかなショッピングモールが苦手で、30分もすると疲れてしまう
テレビで暴力的なシーンをみると、それが頭から離れず何日も思い出してしまう
自分に対してでなくても、怒鳴り声を聞くとドキッとして動揺が止まらない
感情の反応性と共感性の高さ
感情が揺れやすく、さらに他人の気持ちにも強く共鳴する。
他人の感情をまるで自分のことのように受け取ることも多く、疲れる。
例)映画やドラマで感情移入しすぎて、登場人物の気持ちに涙が止まらなくなる
誰かがイライラしていると、自分が責められているような気がして苦しくなる
刺激に対する敏感さ
他の人が気にしないような光・音・におい・肌触りなど、周囲のわずかな刺激にも敏感に反応する。
例)タグのついた服が肌に触れると気になって着られない(はずして着る)
人の声のトーンや、表情のほんの小さな変化にすぐ気づく
次に、もう一つの要素「HSS(刺激追求性)」の特性について説明していきます。
HSSと4つの特性
HSSとは「刺激追求型気質(High Sensation Seeking)」の略で、新しい体験や環境の変化、強い刺激などを好む気質を指します。
HSSの人は、日常に“刺激”がないと退屈しやすく、変化やチャレンジを求めて行動します。
HSPのうち、約30%の人がHSS型にあたると言われています。

HSPの比率が約20%、そのうちの30%がHSS型HSPとすると、全体の約6%がHSS型HSPという計算になります。10人のグループだったらHSS型HSPは1人いるかいないか…。やっぱり少ないですね。
HSSの特性は以下の4つに分類されます。
スリルと冒険の追求
身体的なスリルやリスクを伴う体験に惹かれる。
経験または新規性の追求
日常に新しい要素を取り入れることや、未知の世界を体験することを好みます。
脱抑制
衝動的に、自分を一時的に解放し、「社会的な枠」の外に飛び出そうとする傾向。
理性よりも感情が先に動き、あとで「やりすぎたかも…」と感じることも。
退屈感
単調なルーティンや刺激の少ない環境に、強い退屈を感じる。
※具体例は次のあるあるでご紹介
■HSS(刺激追求性)と外向・内向の特性について
「刺激を求める」と聞くと、「外向的な人のことかな?」と思われがちですが、外向・内向とHSSはまったく別の軸です。
HSSを「外向的」もしくは「内向的」として説明している情報を時々見かけますが、本来のHSS(刺激追求性)には、内向的な人・外向的な人のどちらも含まれています。
疑問に思う方がいるかもと思い、補足させていただきました。
HSS型HSPのよくある”あるある”
そんなHSS型HSPはどんな人たちなのか、代表的な例をご紹介します。
- 繊細なのにスリルと冒険が好き
例)ジェットコースターやバンジージャンプ、スノーボード、スカイダイビング、車を高速で走らせることなどが好き、興奮してワクワクする - 時々ハメを外して後から後悔する
例)飲み会などではしゃぎすぎて、次の日「やりすぎたかも…」と後悔する - 深堀して調べまくる
例)興味をもったものをどんどん深堀して調べる。調べてるうちに、さらに「他にもあるかも?」「この理由は?」と興味が広がり、やめられない。このため知識豊富になるが、広がりすぎて収集がつかなくなることも。 - 刺激を求めて行動するがすぐ疲れる
例)興味をもったものを体験しにすぐ出かける行動力がある。でも中身はHSPなので初めての環境に刺激されて、帰ってきた頃にはぐったり疲れる。 - 退屈しやすい
例)同じことの繰り返しに退屈する。
何も予定のない休日は、退屈で逆に落ち着かず、何かしたくなる - 何でもすぐに上達する
例)趣味など、大体のものはすぐ上達する。(でも8割がた出来るようになると次のものに興味が移る)
手先が器用な人も多い。 - いろいろなことに興味を持つが飽きやすい
例)新しい趣味をはじめて夢中でやっていたのに、ある程度上達すると、突然興味を失ってしまう。
そして、また次の興味に心が向かう――これを繰り返す。
始めるときに、いきなり本格的な道具をそろえてしまうのもありがち。 - 人との距離感に悩みやすい
例)初めての人と話すのは嫌いじゃない。結構盛り上がるし楽しい。でも、
その後の距離感に悩み「誘ったら迷惑かも?」などと考え、距離をつめられない。 - 人と接するのは嫌いじゃないが、内心はとても敏感
例)中身がHSPなので、距離感が近すぎるのも疲れたり傷ついたりしやすい。ソロ活は気楽で好き。
共感できるあるあるはあったでしょうか。
特性の出方や、その強さは人それぞれなので、すごく共感できるものと、あまり当てはまらないものがあると思います。
私ってHSP?それともHSS型HSP?と思ったら
「私ってHSP?それともHSS型HSP?」と思った方に、簡単に受けられる診断テストをご紹介します。
診断テストはいくつかありますが、以下のサイトのテストはシンプルでわかりやすかったです。
▶ HSP・HSS型HSP診断テスト(hitostat.com)
私が試してみたところ、こんな結果になりました。

私はやっぱりHSS型HSPでした💦
(こういうテストは自分の答え方によっても診断が変わることもあるので、結果は目安と考えてくださいね)
この他に、HSS型HSPに向いている仕事・向いていない仕事、日々の心がけなども表示されるので、今後のヒントになるかもしれません。
HSS型HSP研究の第一人者、トレイシー・クーパー博士は著書の中で、
「もし、どちらか、あるいは両方の特性因子を持っていれば、直感的にわかるものですが…」と書いています(『傷つきやすいのに刺激を求める人たち』より)。

ここまで記事を読んで「これ、私!」と感じているなら、その直感は当たっているかも…
HSS型HSPについての研究結果を一般の人がわかりやすいようにまとめた感じの本です。ボリュームがあって読みごたえがありますが、とても詳しく書かれています。
“アンバランスな特性”とつきあう4つのヒント
HSS型HSPは、「繊細さ」と「刺激志向」という相反する気質を同時に持っているため、バランスをとる工夫がとても大切です。
ここでは、実際に取り入れやすいヒント4つを、HSS型HSPの私の経験からまとめました。
- 「繊細さ」と「刺激志向」――どちらも自分と認める
「繊細さ」と「刺激を求める衝動」。自分の中にどっちもあると認めるだけでも、少しラクになれる。
たとえば――「今日はちょっと衝動的に行動してしまった。でもそれも私らしさのひとつ」
そう考えると、まあいいかと思える。 - 意識的に「休む」時間をつくる
次々に興味が湧いて動き続けてしまい、「休み時がわからない」ということが多いかもしれません。
でも、HSS型HSPには“休む”ことが必要。倒れる前に休む。
おすすめなのは、“オフを先に決めておく”=オフファーストです!
最初からに休みの日や小さな休憩時間を予定に組み込む方法。
スケジュール帳に「休み」と書いておくのはかなりおすすめです🌝 - 刺激が足りないのもストレスになる
HSS型HSPにとって、刺激がなさすぎることもストレスの原因になります。
自分の中の「刺激や新しいこと、変化を求める気持ち」を満たすことも、とても大切です。
刺激を取り入れた後は、休息の時間をとることも忘れずに。 - 人間関係は“距離を置きつつ関わる”
HSS型HSPは、初対面ですぐに親しくなるけど、その後気を使って距離を詰められない、近すぎると自分のストレスになる、ソロ活の方が好きなど、人間関係の距離に悩みがち。
長く付き合うには、「関わり方を自分のペースで調整できる関係」がいいと思います。
連絡頻度や会う時間を自分で調整して、負担にならないようにした方が、良い関係を長く続けられています。
親しい相手だったら、HSPの方によくすすめられる方法ですが、あらかじめ「長時間話すと疲れやすい」と伝え、会うときは終わりの時間を決めておく方法もあります。
HSS型HSPの男性・女性による違いについて
HSS型HSPの特性の出方は、その文化の価値観に影響を受ける可能性があります。
HSSの(刺激を求める、行動的で冒険的)特性は、社会的には「男性的」とされる文化が多く、一方でHSPの(繊細で感受性が高い)特性は「女性的」とみなされることが多いです。
日本でも、こうしたジェンダーの価値観が根強く残っていると言わざるを得ません。
このため女性のHSS型HSPは、HSSの「積極的でスピード感のある行動力」や「冒険心、刺激を求める特性」を控えめに表すようになるかもしれません。
逆に男性の場合、繊細さや感情のゆらぎを「男らしくない」と否定されやすく、子どもの頃から「男の子はめそめそするんじゃない」などと言われることもあるでしょう。
そのため、本来の”繊細さ”を押し込めてしまうこともあります。
(参考:トレイシー・クーパー著『傷つきやすいのに刺激を求める人たち)
社会のジェンダーに関する価値観にあわせてしまうことは、HSS型HSPに限ったことではありませんが、HSS型HSPはその影響を受けやすいかもしれません。

最近はだんだん多様性が尊重されるようになってきているので、自分の気質をそのまま認めて楽に生きることができるようになるといいですね
体験談|私がHSS型HSPだと気づいてわかったこと
最後に私の体験をご紹介します。
私は自分を変だとか、変えたいとかは思ったことはないけど、昔から「今、ここにいる自分は本当の自分ではない」という感覚を持っていました。
私は数年前にまず「HSP」のことを知り、「これ私かも…」と思った一方、「でもこんなに繊細じゃないな」と、しっくりこない部分もありました。
その後、「HSS型HSP」を知って「これだっ!」と思ったものの、「矛盾した特性をあわせ持つちょっと複雑な気質」という程度の理解だったのです。
実際に、自分の行動や思考パターンのどこがHSS型HSPかを理解したのは、実は最近で、トレイシー・クーパー博士の『傷つきやすいのに刺激を求める人たち』を読んだのがきっかけです。
これまでもHSS型HSPに関する本は何冊も読んでいましたが、この本にはHSS型HSPの特性がとても詳しく書かれていて、それが自分のものとして腑に落ちました。
そして、自分の性格の中の多くがHSS型HSPによるものだとわかって驚きました。
「えっ、これも?」「これも?」という感じに。
それから、ネットで他のHSS型HSPの方の記事を読んだりして、一気に自分の性格とHSS型HSPの特性を紐づけていきました。
これによって自分に関する理解が進んて、「これが自分なんだ!」と思えた部分もあります。
また、今までちょっと困っていたことの仕組みがわかって、対処法を考えられるようになったところもあります。
例えば、私は時々考えが次々浮かんで思考が止まらなくなることがあります。
これもHSS型HSPにありがちのことらしいのですが、そうなったときにどう対処すればいいか、完全ではないけど対策を立てることができました。
(その対処法を簡単に言うと、ひとつは浮かんだ考えを書き止めることと、マインドフルネスです)
※マインドフルネスについては、こちらの記事でご紹介しています。
HSS型HSPは、複雑で矛盾を含んだ特性のため、自分を扱いにくく感じたり、生きづらさを感じることもあるかもしれません。
でも、HSS型HSPの人には、創造性や豊かな才能を持っている人が多いともいわれています。
まだ自分が気づいていない魅力や可能性があるかもしれない…そう思って、楽しくこの特性と付き合っていこうと考えています。
まとめ
HSS型HSPの特徴についてご紹介してきました。
この記事が、HSS型HSPの方が自分を知り、少しでもラクに自分らしく生きるためのヒントになれば嬉しいです。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
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