「集中していただけなのに、後でどっと疲れがでる」
「やめたいのに、やめられない」
そんな経験はありませんか?
それはHSS型HSPの人が陥りやすい“過集中”かもしれません。
この記事では、HSS型HSPがなぜ過集中になりやすいのか、フローとの違い、起こりやすい作業や具体的な対策までまとめました。
夢中になれる力を大切にしながら、疲れすぎずに続けていくヒントをお伝えします。
HSS型HSPはなぜ“過集中”しやすいのか?

HSS型HSPの人は、「夢中になりすぎてやめられない」という状態に陥りやすい傾向があります。
この背景には、「刺激を求めて行動せずにいられないHSSの側面」と、「刺激に敏感で疲れやすいHSPの側面」という、いわば正反対の気質を同時に持っていることがあります。
まずは、HSSとHSPについて簡単に説明します。
刺激を求めるHSSの特性
HSSとは「High Sensation Seeking(刺激追求性)」の略で、新しい体験や環境の変化、強い刺激などを好む気質を指します。
HSSの人は、日常に“刺激”がないと退屈しやすく、変化やチャレンジを求めて行動します。
そのため、「好奇心が強い」「新しいことにワクワクする」「熱中しやすい」という側面があります。
興味を惹かれる作業や、自分にとって意味のあることに出会うと、
「これ面白い!もっとやりたい!」と一気に加速し、止まらないエネルギーが湧いてきます。
刺激に敏感なHSPの特性
一方、HSPとは「Highly Sensitive Person(繊細な感受性を持つ人)」の略で、生まれつき感受性が強く、光や音などの刺激や、周囲の感情にも敏感に反応しやすい気質を指します。
HSPの人には、「刺激に敏感」「疲れやすい」「自分や他人の感情の意味を深く考える」「物事をじっくりと深く思考する」などの側面があります。
そのため、「長時間刺激を受け続ける」ことに弱いのです。
音や光だけでなく、情報のインプットや集中状態そのものも「刺激」になるため、長時間の集中はエネルギーを大きく消耗します。
HSS×HSPで起こる“矛盾”から過集中に
このHSSとHSPが合わさると、次のような状況が生まれます。

HSS:「面白いからどんどんやろうぜ!」
HSP:「もう疲れたから休みましょう!」
このように、内側で矛盾したジレンマが起こります。
そして多くの場合、HSSの勢いが勝ってしまい、疲れに気づかず作業を続ける、あるいは「ここまでやったんだから最後まで!」と止まれなくなるなど、「過集中」状態に突入してしまうのです。
ADHDの「過集中」とは少しちがう?
実は「過集中」という言葉は、主にADHD(注意欠如・多動症)の特徴として知られていますが、HSS型HSPの過集中の場合、ADHDでいう過集中とは若干状況が異なります。
ADHDの過集中は、注意のコントロールが効かず、特定の刺激に過剰にロックオンされるような状態です。
一方でHSS型HSPの過集中は、
・本人がある程度コントロールしているつもり
・興味・好奇心に突き動かされ
・疲れても無理して続けてしまう
という性質が強く、「気づいたらオーバーワークになっていた」というパターンが多いのが特徴です。
どこまでが「夢中」でどこからが「過集中」?

とはいえ、夢中になってなかなかやめられないということは、誰にでもあるものです。
どこまでが「夢中」で、どこからが気をつける必要のある「過集中」なのでしょうか?
例えば、ちょっとやりすぎたけど楽しかった、休めばOKという程度なら、それは「夢中」と言えるでしょう。
でも、何度も繰り返して疲労が蓄積する、身体に不調が出る、燃え尽きるようなレベルになると問題です。
もし、次のような状態に心当たりがあるなら、過集中にならないように対策を考えたほうが良さそうです。
- いつもヘトヘトになる
- 予定していた他のことが全部潰れる
- 身体に不調(頭痛、肩こりなど)が出る
- 翌日も疲労を引きずる
また、これ以外でも、自分で「この状態をなんとかしたい」と感じているなら、ぜひこの下の対策を参考にしてみてください。
「フロー」と「過集中」の違い

「過集中」と似た状態に「フロー」がありますが、この二つは似て非なるものです。
ここでは、フローと過集中の違いについて見ていきましょう。
「フロー」とは、よく「フローに入った」などと言われる状態で、「心地よく、完全に没頭している状態」を指します。
フローは自分のスキルと課題のバランスが取れていて、最高のパフォーマンスを発揮できる理想的な状態と言えるでしょう。
一方、過集中は身体の声を無視して活動を続けてしまい、終わったあとに疲労感や不調がどっと出る状態です。
具体的にこの二つがどう違うのかを、以下の表にまとめました。
特徴 | フロー | 過集中 |
集中の質 | 心地よい没頭感、自然なリズム | 緊張や力み、無理を重ねる |
身体感覚 | リラックスしている、流れるような感覚 | 体の声を無視、違和感に気づけない |
終わった後の感覚 | 充実感、満たされる、心地よい疲労 | 消耗感、頭痛や肩こり、強い疲れ |
コントロール感 | 自分で区切りをつけられる、ペースを調整できる | 「もうちょっと!」が止まらず、やめどきを失う |
フローは、リラックスした充実感や自分でコントロールできている感覚がある状態です。
一方、過集中は突き動かされて止められない、自分でコントロールしているつもりでもコントロールしきれない感覚があります。
また、発想の自由さという点でも、フローの場合とは異なり、過集中では視野が狭くなり、柔軟さを失いやすい面があります。
自分の状態はフロー?過集中?…気になる方は、念のためにチェックしてみてください。
「過集中あるある」いくつ共感できる?

ここでは、HSS型HSPの過集中で起こりがちな「あるある」をご紹介します。
「これ、自分にもあるかも?」と、ぜひ心当たりをチェックしてみてください。
- 途中でやめようと思っても「あと少し」が止まらない
- 本当は疲れているのに「ここまでやったんだから最後まで!」と無理に続ける
- 終わったあと、頭痛や肩こりがひどい。疲れすぎて動けない
- 予定していた他のことが全部後回しになる
- 楽しく始めたのに、終わる頃にはイライラや不安が増していた

私は1と2になりがちです。
もう疲れた、やめようと思うのにやめられない。
「もうやめっ!」と立ち上がっても、まだ「ここをもうちょっと…」と続けたりします。
でも、正直その粘りで進むこともあるし、良いか悪いかは“どのくらい疲れているか”にもよりますね💦
「気づいたら数時間経っていた」──これは過集中でもフローでも起こることがあります。
それぞれの違いは…
・過集中:「止めたいのに止められない」力みや無理を重ね、終わった後に強い疲労感や不調が出やすいのが特徴
・フロー:心地よいリズムで没頭でき、終わった後に満足感や心地よい疲労が残る
“過集中”が起きやすい作業は?

過集中には、起こりやすい作業と起こりにくい作業があります。
特に「内的にのめり込みやすい」作業は過集中が起こりやすい傾向があります。
HSS型HSPは好奇心や集中力が強い分、こうした作業にハマりすぎてしまうことがあるので要注意ですね!
具体的には、次のような作業が例として挙げられます。
- パソコン作業(ライティング、デザイン、動画編集、プログラミングなど)
→ 一度「流れ」に乗ると止めどきを見失いやすい - ゲーム(特に戦略性や達成感があるもの)
→ 「もうちょっと」「ここまでクリアしたい」で延々と続く - SNSの情報収集・投稿
→ 無限スクロールやコメント返信で際限がなくなる - 手作業(手芸、DIY、楽器練習など)
→ HSS型HSPには「集中が心地よい」ので、気づくと時間を忘れる - 読書や創作活動(イラスト、小説など)
→ 世界に没頭して、体の疲れを無視してしまう

個人的には、1、2、3のデジタル関連の作業は特に夢中になりやすく、過集中にもなりやすいと感じます。また、4、5はそこまで疲れないですね。
やはりデジタルを使った作業は、受動的に刺激を受け取り続けてしまうので、知らないうちに過集中にハマってしまうのかもしれません。
HSS型HSPの人にとって、どんなときに自分が止められなくなるのか、あらかじめ知っておくと対策も立てやすくなります。
HSS型HSP「過集中」対策のヒント

過集中は、「ちょっと疲れるくらい」で止める」「明日も続けられるペースにする」など、意識次第で負担を減らすことはできます。
今日限界までやるより、ずっと続けられる、継続できる方が大切ではないでしょうか。
HSS型HSPにおすすめの「過集中対策のヒント」をご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
作業を始める前の対策5つ

作業を始める前に少し意識を変えるだけで、過集中を防ぎやすくなります。
ここでは、HSS型HSPにおすすめの「始める前の対策5つ」を紹介します。
- 意識的に始める
なんとなく始めるのではなく、1分間だけ目を閉じて静かに呼吸をするなどして、意識的に作業を開始する。
無意識に作業を始めると、気づかないうちに過集中になりやすい気がします。 - タイマーを使う(ポモドーロテクニックでも)
25分や45分など、自分に合った時間でアラームを設定して区切りを作る。
アラームが鳴ったら5〜10分くらい休憩します。
その場所を離れて、ぼーっとするのがおすすめです。私は、短時間でできる家事(食器洗い、ちょこっと掃除)をすることもあります。 - 疲れを感じたら途中でもやめる
疲れを感じたら、途中でもやめる勇気を持ちましょう。
~疲れのサイン~
呼吸が浅くなっている、姿勢が崩れている、トイレに行く間も惜しんで作業を続けている、目が乾く、視界がぼんやりする(デジタル作業など)、「あと少し!」をいつまでも続ける、イライラ、焦り
途中でやめても、明日の自分が続きをやってくれるから大丈夫と考えてみてください。 - 場合によっては「物足りないところで終える」練習をしてみる
「もうちょっとやりたい!」くらいでやめると、次回やる気に満ちてに取りかかれる面も? - 「作業後のケア」もスケジュールに入れる
ストレッチ、軽いお茶タイム、散歩など、頭と体をリセットする時間を作る。
25分作業+5分休憩を繰り返すことで、疲れを溜めずに集中を維持する時間管理法です。
ぜひ、自分に合いそうなものから試してみてくださいね。

私は、1の「意識的に始める」が一番効果的でした。
1分間の簡単な呼吸瞑想(マインドフルネス)ですが、手軽にできて、作業中もたびたび自分を客観的に見られるので、脳の興奮に乗っ取られにくいように感じます。
タイマーは、ピピピッとなるキッチンタイマーがおすすめです。
実際には、タイマーが鳴っても「区切りのいいところまで」やってしまうこともあります。時間を意識していれば、そんなにきっちりしなくても大丈夫なようです。
うっかり「過集中」になっていることに気がついたら
「しまった!過集中になってる」と気づいたら…。
(まず、気づけたならえらいです!)
過集中になってしまっていると、すでに頭が暴走していて、自分で止めるのがなかなか難しいのではないでしょうか。(私は難しいです)
そんなときに、どうやって作業をやめて、頭を静めるかについて対策をまとめました。
- 一旦手を止めてその場から離れる
とにかく何も考えずに手を止めて、その場から離れます。
パソコン作業なら、自分を画面から引きはがすくらいの勢いが必要かもしれません。
トイレに行くのもおすすめです! - 深呼吸をする、ストレッチをする
ゆっくり呼吸し、体をのばしてストレッチ。
体を動かして緊張をほぐすと、頭がリセットされて視点を変えやすくなります。 - 「あと少し!」を紙に書き出す
頭が暴走して思考が止まらないときは、思っていることを全部メモに書き出します。
書き出して「書いたから大丈夫!」と思うことで、暴走した思考も収まりやすくなります。 - 脳の興奮が収まらない時のアクション
なかなか興奮が収まらないときは、次のようなことを試すのもおすすめです。
散歩に行く、ストレッチやヨガをする、楽器を演奏する、お風呂に入る、音楽を聴く、ホットドリンクを飲む。
こうした小さな行動で「リセットする」ことを意識してみてください。
うっかり過集中になってしまったときも、「気づいたら止める」「リセットする」を習慣にして、自分をいたわる時間を大切にしてみてくださいね。
まとめ
HSS型HSPの人が陥りがちな過集中について、なぜ起こりやすいのか、その対策も含めてまとめました。
過集中は、HSS型HSPならではの「夢中になれる力」の裏返しでもあります。
うまく付き合っていくことで、疲れすぎを防ぎ、やりたいことを無理なく続けていけたらいいですね。
この記事が、過集中に悩む方の参考になれば幸いです。
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