「楽しんでいたのに、終わった後どっと疲れが来て動けなくなった」
「まだまだ頑張れると思っていたが、かなり無理をしていたことに気づいた」
「どこまでなら頑張れて、どこで休むべきかわからない」」
HSS型HSPの方、こんなことはありませんか?
それはあなただけではありません。
HSS型HSP方には、そういう悩みを持っている人が多いようです。
この記事では、そんなHSS型HSPの方のために、疲れ切ってしまう前に疲れに気づき、上手に休めるようになるための考え方や気づくための方法、具体的な休み方についてご紹介していきます。
HSS型HSPが「疲れに気づけない」「休めない」理由

HSS型HSPとは、「刺激を求める好奇心旺盛な面(HSS)」と、「繊細で敏感な面(HSP)」という、いわば相反するような2つの特性をあわせ持った気質のことです。
傷つきやすく疲れやすいのに、刺激を求めて行動してしまう──そんな2面性があるために、疲れているのに気がつかなかったり、休み方がわからなくなったりしがちです。
HSS型HSPの2つの側面
まずここでは、HSS型HSPの「刺激を求めるHSS」と「繊細なHSP」という2つの特性について、少し詳しく見てみましょう。
HSP(非常に繊細な人)の側面
HSPは「Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン/非常に繊細な人)」の略で、生まれつき感受性が強く、光や音などの刺激や感情に敏感に反応しやすい気質をもった人たちのことを指します。
HSPには、「DOES(ダズ)」と呼ばれる、次の4つの特性があります。
1.処理の深さ
物事を深く考える。また行動する前に情報をじっくりと分析し、先々の影響まで考慮する。
2.刺激に対する反応の強さ
騒音、匂い、強い光、多すぎる情報、対人関係などの刺激に強く反応して疲れやすい。
3.感情の反応性と共感性の高さ
感情が揺れやすく、さらに他人の気持ちにも強く共鳴する。
他人の感情をまるで自分のことのように受け取ることも多く、疲れる。
4.刺激に対する敏感さ
他の人が気にしないような光・音・におい・肌触りなど、周囲のわずかな刺激にも敏感に反応する。
このように、HSPは日常生活の様々な刺激に対して敏感に反応する気質をもっています。
このため、細やかな気配りができたり、芸術や自然の美しさに深く感動できるといった、優れた感受性を持っていることが魅力のひとつです。
一方で、その繊細さゆえに傷つきやすかったり、疲労がたまりやすい面もあります。
HSS(刺激追求性)の側面
HSSとは「刺激追求型気質(High Sensation Seeking)」の略で、新しい体験や環境の変化、強い刺激などを好む気質を指します。
HSSの人は、日常に“刺激”がないと退屈しやすく、変化やチャレンジを求めて行動します。
HSSの特性は以下の4つに分類されます。
1.スリルと冒険の追求
身体的なスリルやリスクを伴う体験に惹かれる。
2.経験または新規性の追求
日常に新しい要素を取り入れることや、未知の世界を体験することを好みます。
3.脱抑制
衝動的に、自分を一時的に解放し、「社会的な枠」の外に飛び出そうとする傾向。
理性よりも感情が先に動き、あとで「やりすぎたかも…」と感じることも。
4.退屈感
単調なルーティンや刺激の少ない環境に、強い退屈を感じる。
HSSの性質は、「もっと面白いことをしたい」「刺激がほしい」と行動を起こすエネルギーに満ちています。
気になることがあればどんどん飛び込みたくなるし、予定もどんどん詰め込んでしまう傾向もあります。
※HSS型HSPについては、下の記事で詳しく解説しています
HSSの勢いがHSPの声をかき消すとき──疲れに気づけない理由

つまりHSS型HSPの人は、HSPの側面では非常に繊細で、とても疲れやすいのです。
しかし一方で、HSSの側面では刺激的な活動に惹かれ、新しいことを求めて突っ走ります。
「もっと!まだやれる!」と自分を奮い立たせ、動き続けてしまう。
その過程で脳が興奮状態となり、ドーパミンが過剰に出て、さらに刺激を求めてしまうこともあります。
このように、HSS型HSPの脳内では、「もっと動きたい!(HSS)」というアクセルと、「もう無理かも…(HSP)」というブレーキが、同時に存在している状態です。
特にHSSの勢いが強くなると、HSPの「疲れているかも」という内側からのシグナルがかき消されてしまう。
実際、HSSの勢いがHSPよりも勝ってしまう場面は、日常的によくあるのではないでしょうか。
これが、「疲れているのに気づけない」「まだいけると思って無理してしまう」という状態の正体です。
休むことは「スキル」──HSS型HSPに必要なふたつの力

「限界を超えるまで疲れに気がつかない」「休み方がわからない」「休み時がわからない」──そう感じているHSS型HSPの人は多いのではないでしょうか。
これは、これまでお伝えしてきたように、HSS(刺激を求める性質)とHSP(繊細で疲れやすい性質)という、相反する気質が共存しているからです。
この複雑な気質をもつHSS型HSPが「うまく休む」ためには、
- 自分の疲れに気づく力(セルフアウェアネス)
- 自分に合った休み方を知るスキル
という、2つの“技術”を学ぶ必要があります。
そしてこれらは、生まれつき備わっているものではなく、トレーニングによって身につけられる力です。
HSS型HSPにとって「休むこと」は、自然にできることではないかもしれません。
ぜひ、意識的に学ぶべき「技術」としてとらえてみてください。
自分の疲れに気づく力を育てる─「そろそろ休もう」をキャッチ

疲れが限界までたまってから、ようやく気づく──そんな状態に心当たりのあるHSS型HSPの方は多いと思います。
自分の疲れに気づく力は、HSS型HSPにとっては、もともと備わっている感覚というよりも、意識的に育てていくスキルになります。
この章では、「そろそろ休もう」というサインを見逃さずにキャッチするための、気づき方のスキルをご紹介します。
こんなときこそ「そろそろ休もう」サイン
自分の疲れに気づく力は、ふだん見過ごしている“小さな変化”に目を向けることから始まります。
特にHSS型HSPは、行動が先に立ちやすく、気づいたときにはもう限界…ということも多いものです。
まずは、こんなサインに目を向けてみてください。
- 呼吸が浅くなっている
- まぶたが重い
- イライラや焦りが出ている
- 楽しかったはずなのに、どこか空虚感がある
自分の疲れに気づくためには、こうしたサインを日々意識的にキャッチしていくことが大切です。
では、そうした感覚を育てる具体的な方法として、どんなものがあるのでしょうか?
ここではHSS型HSPにも取り入れやすい方法として、マインドフルネスをおすすめします。
次の章では、その実践方法をご紹介します。
マインドフルな小休止を取り入れる
マインドフルネスとは、「今この瞬間」に意識を向けて、評価せずに「今の状態をそのまま受け入れる」心のあり方を指します。
自分を癒す方法として、近年急速に知られるようになりました。
HSS型HSPのように思考や感情が忙しくなりがちな人にとっては、自分の状態に立ち止まって気づくための、とても効果的なスキルになります。
初心者の方には、呼吸瞑想やボディスキャン瞑想といった基本の実践がよくすすめられますが、まずはもっと手軽にできる「日常の中の小休止」をご紹介します。
1日数回、数分だけ「自分チェック」の時間を取る
たとえば、トイレの後や飲み物を飲むタイミングで、「今、呼吸は浅くなってないかな?」「気持ちはザワザワしてないかな?」と確認してみます。
静かな場所で目を閉じ、呼吸5回分だけ意識を向けてみる
背筋を伸ばし、目を閉じて、吸う息・吐く息にだけ集中してみてください。それだけでも、思考の流れが少し落ち着くのを感じられるかもしれません。
カフェや自宅で「何もしない時間」を5分だけ作る
音楽もスマホもなしで、ただ飲み物を飲みながらぼーっとするだけ。頭の中に浮かぶことに気づいたら、ただ「○○のことを考えているなぁ」と眺めてみてください。
簡単なジャーナリングで「今の自分」を書き出す
「今、感じていること」「頭の中にあること」など、思い浮かぶままに紙に書き出してみると、感じていることに気づいたり、整理されてすっきりしたりして、自分の状態が見えてきます。
3分でも効果があることが心理学で確認されているそうです。アラームをかけてやってみてはいかがでしょうか。
何をするかよりも、「今の自分の状態に意識を向ける」ことが大切です。
何も変わっていないように思えても、気づかないだけで少しは変わっているはずです。
続けることで、自分の疲れや状態に気づく感覚が少しずつ育っていきます。
もっと本格的にやってみたい方へ
ここまでご紹介した「マインドフルな小休止」は、あくまで入り口です。
HSS型HSPが自分の状態に気づくためには、呼吸瞑想やボディスキャン瞑想を実際に継続してやることが、本当に役に立つと私は感じています。
私自身、数年前からボディスキャン瞑想を毎日続けていて、それが大きな変化につながりました。
始めた当初は、HSS型HSPの問題を解決したいというよりも、「自分の人生を変えたい」という想いからでしたが、結果的にHSS型HSPとしての課題にもとても効果があったと実感しています。
もし少しでも興味があるなら、ぜひ試してみてください。
1日5分で簡単にできます(何の回し者でもありません💦)
やり方や詳しい説明は、下記の記事でご紹介していますのでぜひ🌝。
▼関連記事はこちら
👉 【マインドフルネス】1日5分ボディスキャン瞑想を半年続けた結果|HSS型HSPの私の体験
👉 マインドフルネスとは?初めての方にもわかりやすく解説【効果ややり方も紹介】
👉 【初心者向け】マインドフルネスのやさしい始め方と日常への取り入れ方
自分に合った休み方を見つける──HSS型HSPに必要な2つめのスキル

自分の疲れに気づくようになったら、もうひとつ大切なのが「自分に合った休み方を選ぶ力」です。
HSS型HSPは、基本的に“何もしないでじっと休む”ことが苦手です。
退屈を強く感じたり、落ち着かずにそわそわしてしまったり、「何もしないで休むって何をすればいいの?」と思いませんか(私は思いました)。
またHSS型HSPには何もしないで退屈することが、逆にストレスになるかもしれません。
このため、「自分に合った形」で、安心して休む方法を選ぶことが必要です。
HSS型HSP向けのおすすめの休み方
木のある場所をゆっくり散歩してみる(街なかの公園や緑道でもOK)
自然の中が理想ですが、都会にいても公園の木々や街路樹、小さな緑道などを意識して歩くだけで、五感がリセットされ、回復するきっかけになります。
森林や自然の風景写真、森の中の動画などを眺める
どうしても外に出られない日や、身近に緑がない環境で暮らしている場合は、緑のある写真や動画を見るだけでも回復効果があるとのこと(書籍『チャッター』でも紹介されています)。
作業の合間に、好みの動画をみつけて数分間ぼ~っと眺めてみるのはいかがでしょう。
目的のない創作をしてみる
大人向きの塗り絵、日記、楽器の演奏、編み物などの手芸、スクラップ帳づくりやコラージュ(雑誌の切り抜きなど)、粘土やソフトクレイで何かを作る、小さなスケッチや模様描き(zentangle的なもの)など…
「目的のない創作」は、結果よりプロセスを楽しめる・没頭できる・達成を求められないという点で、HSS型HSPにとって「刺激を保ちながら回復する」のにぴったりな方法です。
人と話さない1人時間をつくる
自分ひとりで過ごす時間、どんなときに「落ち着く」「心地いい」と感じるでしょうか?
たとえば、本を読む、趣味に没頭する、コーヒーをゆっくり飲む、好きな動画を見るなど──
家の中、カフェ、公園など、自分が安心できる場所で、誰とも話さずに過ごす静かな時間を意識的にとってみてください。
スマホ断ちタイム(デジタルデトックス)を意識的にとる
SNSやニュースなど、スマホから得る情報は量も刺激も多く、思っている以上に脳を疲れさせています。
たとえば、通勤時間や食事中、夜寝る前などに、「スマホを見ない」と決めると、その間に脳を休め、リフレッシュすることができます。
ポイントは、“自分を整える行動”をしながら回復するという視点です。
「少しだけ活動しながら休む」ことで、退屈しがちなHSSの側面を満たしつつ、繊細なHSPの側面を落ち着かせて回復させることができます。
👉 やる気が出ない休日に…”何もしないで休む”とは何をするか?
👉 短時間のデジタルデトックスを日常に取り入れて、自分らしい感覚を取り戻す
“限界を超える前に休む”ことも、HSS型HSPに必要な技術

HSS型HSPの人は、夢中になっている間は疲れを感じにくく、気づいたときにはもう限界を超えていることがよくあります。
しかし、「もう限界だ…」というサインが出てから休むのでは、すでにかなりのダメージを受けていて、回復にも時間がかかってしまいます。
私自身も、「体調を崩してようやく気づく→休む→また無理する」というサイクルを何度も繰り返し、結果としてかなりしんどい思いをしました。
疲れてからでは遅い!だからこそ“予定に休みを入れる”
HSS型HSPにとっては、「疲れてきたからそろそろ休もう」では実際にはもう手遅れ。
「このくらいの時間/作業量で一旦休もう」とあらかじめ決めておくことが、とても重要です。
たとえば、次のような感じに。
- 作業時間:50分作業したら10分休憩(タイマーをかけると忘れにくい)
- 週単位:週に1日は“完全オフの日”と決めておく
- 月〜年単位:“意識的な長期休暇”を予定に入れる
コツは、「自分が思っているよりも早め・多めに休む」ことです。
HSS型HSPは、刺激の処理にエネルギーを多く使っているため、自覚以上に疲れていることが本当に多いのです。
イベント・集まりの「その場で気づく」は無理がある
楽しいイベントや集まりに参加している最中に、「あ、疲れてきたから帰ろう」と気づいたとしても、その場で抜けるのは難しいもの。
気づけないことも多いし、気づいても…空気を乱したくない、せっかく来たのに…、また誘ってもらえなくなるかもなど、無理に頑張ってしまうことも多いと思います。
そのためイベントで疲れ切らないために、“最初から滞在時間を決めておく”などの事前戦略を立てることをおすすめします。
- 「2時間だけ行こう」と最初から決めておく
- 「今日は最後までいないかも」と先に伝えておく
- 疲れてきたらこうしよう、という作戦を考えておく
- 帰宅後の静かな時間を確保しておく
こうした事前の工夫によって、その場の勢いで無理をしすぎることを防げます。

私の場合、ひとり旅の最終日に「あれもこれも」と詰め込んで見て回り、帰ってきてから体調を崩すことがよくありました。
そんなとき、旅行系のYouTubeを見ていて、カフェでゆっくり休む時間をしっかり確保していることに気づきました。
それ以来、旅行中は無理をせず、「疲れたらカフェで休むのも旅の一部」と考えるようになりました。
休むことを“もったいない”と思わないことも大事ですね。
休みはスケジュールに書いておくのがおすすめ
HSS型HSPにとって、「予定」として休みを入れておくことはとても効果があります。
カレンダーやスケジュール帳に「休み」と書いてあると、「あ、今日はちゃんと休まなきゃ💦」と意識できて、つい予定を入れてしまうことを防げます。
私もスケジュール帳に「休み」と書いています。
それだけで、逆に“休まなきゃ”と思うようになりました。
休んだ方が結果が出ると知っておく
HSS型HSPの人は真面目で完璧主義な面もあるので、つい「もっとやらなきゃ」「頑張ってここまで終わらせよう」と自分を追い込みがち。
でも実際は、休んだ方が結果的に効率的になって、いいパフォーマンスが出せます。
「今日できなくても、明日の自分がやってくれる」
そんな視点で、前向きに“休む選択”をしていきましょう。
まとめ
休むことは、サボることでも負けることでもなくて、自分を大事にするために必要な技術です。
自分の疲れに気づく力を育てること、そして自分に合った休み方をみつけること。
焦らず、少しずつ、自分に合った休み方を見つけていきましょう
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