「好きなことは仕事にできない」は本当?モチベーションのタネから探すやりたいこと

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自己理解のヒント

「好きを仕事にできたら、どんなにいいだろう」と思ったことはありませんか?
けれど、「好きなことは仕事にしない方がいい」といった声もよく聞きます。

本当にそうでしょうか?

この記事では、書籍『ダークホース』を参考に、自分の中の“小さなモチベーション”に目を向けながら、好きなことをどう仕事に近づけていけるかを考えてみます。

「好きを仕事に」はいつから広まった?

この考え方が生まれたのは、恐らくですがアメリカで、1970年ごろに「あなたのパラシュートは何色?(邦題:適職と出会うための最強実践ガイド)」という本が出版されたころにだと思われます。
この本の「本当にやりたいことをみつけよう」という言葉は多くの人の心に刺さり、この本は現在600万部以上発行されているそうです。
(参考文献:「今いる場所で突き抜けろ!」カル・ニューポート著、廣津留真理訳)

日本では、2014年にYouTubeが「好きなことで、生きていく」のキャッチコピーでプロモーションを展開したことがきっかけで広がりました。

このキャッチコピーは動画を見た人の心に響き、たくさんの人が「自分も!」と考えたのですね。

「本当にやりたいことをみつけて、それで生きていけたらどんなにいいだろう!」が、多くの人の心をつかむ考え方であることが伺えますね。

「好きなことは仕事にできない」って本当?その理由を考える

しかし、好きなことは仕事にならない、あるいは仕事にしない方がいいという話もよく聞きます。

例えば私の場合ですが、昔「好きなことを見つけて仕事にしよう!」と勇んで探して、見つけたのが「ダンス」でした(40歳の頃)💦
ダンサーになるとは?どうやって?
その次に見つけた好きなことは、「ドラム」と「パーカッション」。
…ミュージシャンになる?私の好きなこと、こんなのばっかなんですけど。

同じような方はいらっしゃると思います!

他にも、好きなことが仕事にならない理由には、次のようなものが挙げられます。

  • 好きなだけでは収入につながらない
  • 好きなことを仕事にすると、楽しかったものが義務になってつまらなくなる
  • 「好き」だけで、仕事に必要なスキルが足りない
  • 収入が不安定
  • そもそも何が好きかわからない

何とか仕事にできても、それだけで食べていくのは難しかったり、仕事にするにはハードルが高かったりすることも少なくありません。
やっぱり好きなことを仕事にするのは難しいのでしょうか。

私は、必ずしもそうは思いません。
それは、好きなことのとらえ方次第だと思うのです。

「好き」だけでは見つからない理由

「好きなこと」をそれだけで探すと、私のようにダンス、ドラムとなったり、他にも絵を描くことやスポーツなど、プロになる難易度が著しく高い対象になることも多いでしょう。
他にも、好きだから花屋になりたい、カフェをやりたいと思ってがんばって始めたけど、やってみたら何か違ったとか、興味ある分野の勉強をして専門職についたけど向いてなかったなどの話も聞きます。

これは、仕事にすることを「好きなこと」だけで考えたためです。

仕事にすることを探すには、自分の中の「小さなモチベーション」をかきたてるのはどんなことか?を知る必要があります。
次の本に書かれている考え方です。

例えば、この本ではモラハラ夫との結婚に失敗して離婚した女性が、独学で音響技師になって、グラミー賞を受賞したアルバムのレコーディングにも携わるようになったという話が出ています。
彼女は音楽が好きで特にロックとブルースを愛していたけど、ミュージシャンになるということは考えられなかったそうです。
逆に次のような面がありました。

  • 裏方として周囲の人を支える仕事に意欲をかきたてられる
  • 工学技術に興味があって電気器具をいじるのが好き
  • 独学を楽しめる
  • 安定した仕事をしたい
  • 最前線の音楽制作に携わりたい

これらが彼女の”小さなモチベーション”です。この小さなモチベーションをひとつずつ満たす仕事に就くことで、能力を発揮することができて、充足感も得られたのです。

どうでしょうか。かなり細かいですね。
これは一人一人異なり、同じモチベーションの組み合わせになる人は存在しないでしょう。

本当にやりたいことがなかなかみつからないのは、このモチベーションの切り口が人によってまちまちで、一つの理論や”適職判断”などといったもので探すことが出来ないからです。

このため、一人一人が自分の中の小さなモチベーションを探って、充足感の得られる仕事を探す必要があります。
ただそれを満たせば、「好きなことを仕事にする」のも可能になるのではないでしょうか。

「やりたいこと」のタネになる、小さなモチベーションの探し方

では自分の小さなモチベーションはどうやって見つけたらいいのでしょうか?
その切り口はいくもあります。いくつか例を挙げてみましょう。

得意でずっとやっていたこと、やらずにはいられないことは何か?

あなたが得意でずっとやっていたことはなんでしょうか?
自然にやってしまう、やらずにはいられないことはありますか?

子どもの頃から得意でずっとやってきたことや、自然にできることは、それを苦も無く長い時間やり続けることができます。
そういうものは、がんばらないとできない人と比べ、簡単に多くの時間を費やして経験を積むことができます。
つまり、自分だけのスキル(特殊知識)を得ることが出来る可能性が高まります。
それが社会が求めるものと一致すれば、仕事にして唯一無二の存在になれるかも?

例えば、シリコンバレーのエンジェル投資家のナヴァル・ラヴィカントは、利益を生みだすこと、テクノロジーをいじること、人にものを売り込むことが子供の頃から得意だったそうです。(すごいですね💦)
なので、ほんとは偉大な科学者になりたかったのだけど、ビジネスの世界に入ったのだとか。

また、先ほどのダークホースの本には、”ものをまっすぐに並べないと気が済まない人”の話が出ています。
彼はその特性を生かして、半導体チップをミクロン単位で配列することが必要なデバイスの開発に成功し、仕事を退職した後は、ニューヨークで最高のソファ修理人として評価される職人になったそうです。
(中古家具の修理では、新しく修理した箇所をわからないようにするのが難しい)

あなたの場合はどうでしょうか?
子どもの頃よくやっていたことや、普段の生活でついついやってしまうことを考えてみてはいかがでしょう。

※ナヴァル・ラヴィカントのこの本も面白くておすすめ。
ただし、やりたいことの見つけ方というよりは、起業して幸せになるナヴァル・ラヴィカントの哲学的な内容です。

充足感があると感じることは何か?

これをやっていると充足していると感じる、ということはありますか?

「ダークホース」の本には、クローゼットや台所で物の整理をしている時が一番幸せだという女性が登場します。
彼女は政治の世界で活躍していたのだけど、”何か違う”フィットしない感じから転身し、オーガナイザーを始めたそうです。主に忙しい女性を対象に、スケジュールや、家やオフィスなどの物理的な環境を整理(オーガナイズ)するサービスを提供し、大勢の女性を助けているそうです。

ほんとにたいしたことないような、ちょっとしたことでもいいので、普段の生活の中で「あ、今充実していた」と気づいたときに、メモして残しておくとそこからアイディアが広がるかもしれません。

フィットするか

上の「充足感」でも出てきましたが、フィットするかどうか?も切り口のひとつです。

特に職場や学校などでよく感じるかもしれませんね。
ここの職場はすごく居心地がいいとか、逆に何となく自分に合わないとか。
その時、”フィットしない”という感覚を大事にしてみてください。

「充足感」で出てきたオーガナイザーの女性は、「何か違う」という違和感から転身しました。

フィットしない場合、そこから離れてもっと自分の感覚にフィットした場所を探すことが、好きでやりたいことを見つける切り口の一つですが、フィットしなければすぐに転身することをすすめるものではありません。
フィットしない違和感が無視できないくらい大きくなったり、何かのプロジェクトが終わった時やふと自分を見つめたりしたときに、「今が変えるときかも」と感じたらためらわずに進む勇気を持つことが大切だと思います。

判定ゲームで自分の願望を掘り起こす

「ダークホース」では、他人をジャッジしたときに、自分がどんな判定をしているかで個人的な願望を掘り起こすことを提案しています。

職場や買い物に行ったとき、テレビや動画を見た時など、無意識のうちに誰かを評価していると思います。
その時、自分が何を思っているかに注意を向けてみてください。

例えば「富や名声を捨てて、田舎暮らしをしている人」の番組を見たとします。
その時、「自然の中でこんな風に暮らすのはなんて豊かなんだろう」と思い人もいるし、「この人はしょせんメジャーな場所をあきらめて、ひっそりと暮らしてるだけじゃない」と思う人もいるかもしれない。
どう感じたかを正直にみることで、自分が何を求めているかを知ることが出来ます。

その時気をつけることは、ちょっと変わった嗜好や大っぴらに言いにくいことでも堂々と認めること。
ちょっと変わったことが好きでも、それこそ自分の個性の大事な部分かもしれません。

やりたいこと探しに「ゴール設定」はいらない

好きでやりたいことを探す時の切り口をいくつかご紹介しました。

この時、目的地を決めた方がいいのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれません。
例えば「人の役に立ちたい」、「人を楽しませたい」などが願望にあるなら、「人の役に立つ仕事」、「人を楽しませる仕事」などのゴールを設定して、やりたいことを探した方が早いのでは?という意見ですね。

ただ「ダークホース」では、目的地は決めずに、その時自分にできることの中から、一番自分にフィットして充足感の得られる道を選ぶことで、一番高い目的地に到達できると主張しています。
「人の役に立ちたい」というのが小さなモチベーションの一つになることはあるかもしれないけど、ゴールではないということです。

私もこれは正しいと感じています。
なぜかというと、目的地はその時知っている範囲でしか決められないからです。
それだと、探す範囲をかえって狭めてしまうことになりかねませんね。

今選択できる中から、一つ選んで次に進めば新たにわかることもあるかもしれません。
そうしたら、到達地点はもっと高いところになるかも?
ですから目的地の心配はせず好きなこと、小さなモチベーションを探してみてくださいね。

「ダークホース」にはこの記事で引用した以外にもたくさんの事例が挙げられています。ハーバード教育大学院での研究結果を一般向けにわかりやすくまとめた本なので、”好きなことの見つけ方”を自己啓発書のように書いたものではなく、現在の標準化された社会の仕組みを解説した部分など読みにくいところもあります。ただ全体的に、読み物としても面白くて元気がでるのでおすすめです。

まとめ

「好きなことを仕事にする」には、自分の中にある小さなモチベーションを見つけることが大切です。
その組み合わせは人それぞれで、適職診断などで一発でわかるものではありません。
少しずつ経験を積みながら、自分らしい働き方を探していくことが近道なのかもしれません。

今回の記事が、自分の「やりたいこと」を探すヒントになれば嬉しいです。

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