HSS型HSPの方で、デザイン系の仕事に興味を持っている方に向けて、この記事では、未経験からでも目指しやすいデザイン職として、「Webデザイナー」「グラフィックデザイナー」「UIデザイナー」の3つをご紹介します。
この3つには、繊細な感性を活かせること、創造的な仕事であること、ひとりで集中して働ける場面が多いことなど、HSS型HSPの方に向いている仕事としての要素が多く含まれています。
それぞれの仕事内容の違いや、HSS型HSPとの相性、向き・不向き、働き方などを比較しながら、
自分に合った選択肢を見つけるヒントをお届けします。
▶HSS型HSPの特徴について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
それぞれのデザイナー職はどんな仕事?

デザインの仕事と一口にいっても、その対象や求められるスキルには違いがあります。
ここでは、未経験からでも目指しやすい「Webデザイナー」「グラフィックデザイナー」「UIデザイナー」の3つについて、仕事内容や特徴をご紹介します。
自分に合った働き方やスキルの方向性を考えるヒントにしてみてください。
Webデザイナーとは

Webデザイナーは、Webサイトの見た目や使いやすさをデザインする仕事です。
企業のホームページ、ブログ、ネットショップ、ランディングページ(広告用ページ)など、Web上でユーザーが目にする画面の設計と装飾を担当します。
具体的には、レイアウト、色、フォント、画像、ボタンのデザインなどを行い、HTMLやCSSなどの基本的なコーディング知識を求められることもあります。
また、スマホやタブレットなど、どの端末で見てもレイアウトが崩れないように調整(レスポンシブ対応)するのも、Webデザイナーの重要な役割のひとつです。
デザイン性だけでなく、情報の分かりやすさや使いやすさ(UI・UX※)にも気を配る必要があるため、クリエイティブと論理性の両方を活かせる職種です。
※:UI(ユーザーインターフェース)とは、ユーザーが画面上で実際に「見る」「触る」部分(ボタン・メニュー・文字の配置など)のことです。
UX(ユーザーエクスペリエンス)は、ユーザーが操作を通じて得られる「体験全体」のことを指します。
Webデザインは表現の自由度が高く、働き方の選択肢も豊富なため、HSS型HSPの気質に合いやすい仕事のひとつと言えます。
実際、今回ご紹介する3つの職種の中では、もっともおすすめの選択肢です。
グラフィックデザイナーとは

グラフィックデザイナーは、企業やブランドのメッセージを、紙媒体などのデザインで視覚的に表現する仕事です。
ポスター、チラシ、雑誌、パンフレット、商品パッケージ、名刺、ロゴデザインなど、幅広い分野で活躍します。
主にIllustratorやPhotoshopなどのデザインソフトを使い、視覚的にメッセージを伝えるレイアウトや配色を設計します。
ブランドの世界観や企業の方針に合わせて、コンセプトを形にする力が求められるため、感性や美意識が活かせる職種です。
Webデザインとの違いは、「動き」や「画面サイズの変化」がなく、紙という固定された空間の中で完成度を追求する点にあります。
紙媒体のデザインに魅力を感じる人にはおすすめの仕事です。
UIデザイナーとは

UIデザイナーは、Webサイトやアプリなどのユーザーインターフェース(UI=画面操作まわり)を設計する仕事です。
ユーザーが「見て」「(リンクを)クリックして」「迷わず進める」ように、画面の構成・情報の配置・動線などを考えて設計します。
単なるビジュアルデザインではなく、「どうすれば直感的に操作できるか」「どこで迷いそうか」など、ユーザーの行動を想定した設計が求められます。
そのため、デザイン力に加えて論理的思考や情報整理力が必要とされます。
UIデザイナーは、UX(ユーザー体験)やエンジニアとの連携も多いため、チームでモノづくりをすることが好きな人や、「使いやすさ」にこだわりたい人に向いている職種です。
未経験から直接目指すには少しハードルが高い場合もありますが、Webデザインを経験したあとにステップアップする道もあります。
HSS型HSPの気質とデザイナー職の相性

HSS型HSPは、「好奇心旺盛で新しいことに惹かれる一方、刺激に敏感で疲れやすい」という、相反するような気質を持っています。
そのため、仕事選びにおいては「興味を持てること」「自分のペースで進められること」「感性を活かせること」のバランスが重要です。
デザイナー職は、感性や創造力が活かせるだけでなく、働き方や学び方に柔軟性があることが多いため、HSS型HSPの特性にはよく合っていて、向いている仕事と言えます。
ここでは、なかでもWebデザイナーを特におすすめする理由と、グラフィック・UIそれぞれに向いている人の特徴について見ていきます。
Webデザイナーが特におすすめな理由
HSS型HSPの人は、「新しいものへの好奇心」と「一人で黙々と集中したい」という両方の気質を持ち合わせていることが多くあります。
Webデザインは、多様なジャンルのサイト制作に関われる刺激がありつつも、在宅やフリーランスなど、自分のペースで取り組める働き方がしやすい職種です。
また、オンラインスクールや独学用の教材も豊富にあるため、未経験からでも始めやすく、少しずつステップアップしていける環境が整っています。
「好奇心で学びながら、必要以上に人と関わらずに働ける」このバランスの良さが、HSS型HSPにとって非常に魅力的です。
グラフィック・UIも人によってはおすすめ
感性や思考のスタイルによっては、グラフィックデザイナーやUIデザイナーの方が向いているケースもあります。
たとえば、グラフィックデザイナーは、色彩感覚や構成力、紙の質感などの美的こだわりを活かせる職種です。
静かな空間でじっくりと作品に向き合うことが好きな人なら、HSS型HSPの「繊細さ」や「集中力」が発揮しやすいでしょう。
一方、UIデザイナーは、「使いやすさ」や「情報の流れ・構造」に関心を持てる人に向いています。
やや理系的な面もあります。
感覚的な共感力を持ちながらも、物事を整理したり、流れを論理的に組み立てることが得意なタイプのHSS型HSPにとっては、UI設計はやりがいのある仕事です。
「なんとなくこうしたい」だけでなく、ユーザーが迷わず目的にたどり着ける設計を考える力が活きるため、直感と論理のバランスを取りながら働きたい人には特に向いています。
「Webが無難」と感じるかもしれませんが、興味や性格のタイプによっては、他の道の方がしっくりくる場合もあります。
未経験からの始めやすさは?

HSS型HSPにとって仕事を選ぶときは、「好奇心を刺激されるか」「自分のペースで働けるか」「感性や考え方が活かせるか」といったポイントが重要です。
3つを表で比較
ここでは、Web・グラフィック・UIの3つのデザイナー職について、HSS型HSPとの相性・始めやすさ・総合的なおすすめ度を比較していきます。
デザイン職 | HSS型HSPにとっての魅力 | 未経験からの道のり | 総合おすすめ度 |
Webデザイナー | 好奇心×自己ペース◎/ジャンル多様 | 独学・スクール・副業OK | ★★★★★ |
グラフィックデザイナー | 美的感覚◎/紙の世界に没頭できる | 若干狭いが可能性あり | ★★★☆☆ |
UIデザイナー | ロジカル&共感型に◎ | Webデザイン経由がおすすめ | ★★★★☆ |
ご覧の通り、Webデザイナーは「学びやすさ」「働き方の自由度」「ジャンルの多様さ」など、HSS型HSPが取り組みやすい要素が多く、未経験からでも始めやすい選択肢といえます。
ただし、グラフィックやUIの分野にも、それにしかない魅力や強みがあります。
次は、「フリーランスとしてのなりやすさ」や「独立までの道のり」という観点から、それぞれの特徴を見ていきましょう。
それぞれの職種とフリーランスでの働きやすさ
HSS型HSPにとって、「どんな仕事が自分に合うか」を考えるときは、仕事内容そのものだけでなく、学びやすさや働き方の柔軟さも大切な判断基準になります。
とくに、フリーランスとして自分のペースで働きたい方には、Webデザイナーが最も現実的で始めやすい選択肢と言えるでしょう。
一方で、グラフィックデザイナーやUIデザイナーを目指す場合は、企業やデザイン事務所への転職や就業経験を経てからの方が、独立やスキルの活用につなげやすいかもしれません。
ここからは、3つの職種について「未経験からの道のり」「フリーランスへの展開可能性」を比較して見ていきます。
Webデザイナー|フリーランスにしやすい
Webデザイナーの仕事の特徴は下記の通りです。
- 単体で完結できる業務範囲が広い(デザイン+コーディング)
- クラウドソーシングやSNSなどで個人案件が取りやすい
- ポートフォリオをWeb上に載せやすく、営業のハードルが比較的低い
- サイト制作の需要が常に一定数ある(小規模事業者・講師・個人商店など)
Webデザイナーは、 未経験から学び始めて、副業を経てフリーランスへとつながりやすい職種です。
HSS型HSPにとっても、人間関係を必要以上に抱えずに、感性や好奇心を活かしやすい働き方ができるという点で大きなメリットがあります。
グラフィックデザイナー|事務所勤務を経ての独立が多い
グラフィックデザイナーの仕事の特徴は下記の通りです。
- 紙媒体や広告代理店とのやり取り、印刷入稿などの経験が求められる場面が多い
- クライアントとの信頼関係が重要で、紹介やつながりが案件に直結しやすい
- 美術系出身者やデザイン事務所での実務経験者が多い
フリーランスとして活動している人もいますが、一度企業や事務所に所属してから独立するルートが一般的です。
その一方、最近ではSNS発信や同人活動、ハンドメイド界隈などから活躍の場を広げる人も増えています。
“紙の世界”が好きな人にとっては、長く深く続けられる仕事とも言えます。
◆グラフィックデザイナーを目指すなら?
グラフィックデザイナーは、美大やデザイン系専門学校出身者が多い職種です。
とくに美大はハードルが高く感じるかもしれませんが、本気で学びたい気持ちがあるなら専門学校は現実的な選択肢になることも。
一方で、学歴がなくても実務経験を積んでキャリアを築く人もいます。
たとえば、印刷会社やDTPオペレーターの仕事からスタートし、少しずつデザイン業務に関わっていくルートもあります。
最近は、SNSやポートフォリオサイトを通じて個人の発信から仕事につなげる人も増えているので、柔軟なアプローチで目指していくことも可能です。
UIデザイナー|企業経験があると有利
UIデザイナーの仕事の特徴は下記の通りです。
- チームでのプロダクト開発経験や、UI設計の実践的知識が重視されやすい
- UX担当やエンジニアと連携して動く場面が多く、一定の専門性が必要
- フリーランスでも活躍している人はいるが、継続的な案件獲得には信頼と実績が不可欠
多くの場合、まずは企業や制作会社などで実務経験を積んでから独立や副業としてUI案件を受ける道を選ぶ人が多いです。
◆UIデザイナーはどこで働くの?
UIデザイナーは、主に以下の2つのタイプの職場で活躍しています。
- 制作会社(受託):クライアントから依頼を受けてWebサービスやアプリのUIを設計。複数案件を並行して進めることもあり、納期やスピード感が求められる場面が多いです。
- 事業会社(企業内):自社サービスのUIを作って改善する「インハウスデザイナー」として働くケース。継続的にひとつのプロダクトに関わるため、じっくり取り組める環境を好む人に向いています。
最近では、IT企業だけでなく、教育・医療・金融・製造業などさまざまな業界で企業内にUI/UXチームを持つところが増えています。
🔍転職サイトで探すときは?
求人の職種名としては、「UIデザイナー」「UI/UXデザイナー」「Webデザイナー(UI寄り)」などで検索すると見つかります。
また、「インハウスデザイナー」「プロダクトデザイナー」などの名称が使われていることもあります。
比較結果と選び方のヒント
ここまでの内容から、未経験からの始めやすさ・働き方の自由度・仕事の幅広さといった点で、WebデザイナーはHSS型HSPにとって特に取り組みやすく、長く続けやすい職種であることが見えてきたのではないでしょうか。
一方で、グラフィックやUIの分野も、自分の感性に合っていれば、長く続くキャリアへつながる可能性があります。
「どれが一番向いているか」は人によって異なります。次の章では、迷ったときに参考になる選び方のヒントをご紹介していきます。
▶HSS型HSPの方が、自分の特性を活かして働く方法については、こちらの記事でも詳しくご紹介しています。
どうやって選べばいい?迷ったときのヒント

ここまで読んで、「なんとなく気になる職種はあるけど、これでいいのかな…」と迷っている方もいるかもしれません。
(選ぶときにじっくり考えたり、慎重になったりするのも、HSS型HSPの人の傾向ですね)
そんなときに、選択を決めるヒントになる視点をいくつかご紹介します。
● 興味がある制作物で考えてみる
「紙のデザインが好き」「アプリの操作画面を見てワクワクする」「Webサイトの見た目をじっくり見てしまう」
日常の中でつい目がいくもの・気になるものから、自分の感覚に近い分野を探ってみましょう。
● 学びやすさ・働き方の自由度で考える
未経験から始めやすく、副業やフリーランスといった柔軟な働き方がしやすいのはWebデザイナーです。
まずは取り組みやすいWebからスタートし、興味があればUIやグラフィックへ広げていくという方法もあります。
● 続けやすさで考えてみる
HSS型HSPは、やり始めたことに熱中するけれど、刺激が強すぎると疲れてしまうという面もあります。
「無理なく続けられそうか?」「疲れたときに距離が取れる働き方か?」という視点も、自分に合った道を見つける上で大切です。
まずは興味のあるものから情報を集めたり、少し学んでみたりして、自分がどう感じるかを調べてみるところから始めてはいかがでしょう。
それが、HSS型HSPにとって「本当に合うもの」と出会う第一歩になるかもしれません。
▶デザイン職に興味はあるけど、仕事にできるか自信がないという方に
まとめ
Webデザイナー、グラフィックデザイナー、UIデザイナーは、視覚的なデザインに興味がある人にとって、
自分の感性を活かせる仕事です。
HSS型HSPの特性を踏まえると、未経験からの始めやすさや働き方の柔軟さの点で、Webデザイナーは特に取り組みやすい職種といえるでしょう。
一方で、グラフィックやUIの分野にもそれぞれに合う人がいて、自分の得意な感覚や関心に合った方向を選ぶことが大切です。
興味のある分野が見つかったら、まずは小さな一歩から学び始めてみてください。
この記事が、自分に合った働き方を考えるヒントになれば嬉しいです。
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